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2015.12.08

Beside AC

  職場の後輩が買ってきたというお土産を見て、一瞬、言葉を失った。

「やっぱりそういう反応ですよね。……あはは」
  力無く笑いを浮かべる彼の手には、「黒糖ドーナツ棒」。私の知る限りそれは、熊本県の土産品。だから台湾に行ってきたという彼が配るべき土産品としては間違っていた。少なくとも、ここ。熊本においては。

「何かあったの?」
  尋ねてみると、彼は旅行先の台湾でも、土産品を買っていたという。ところがその土産――月餅なのだそう――の賞味期限はわずか2日間だったとのこと。
「日本に帰ってきた日に、めでたく賞味期限切れですよ」
  自嘲気味にひとりごちる彼に、思わず笑ってしまった。
  ともあれ、事情は飲み込めた。何かもう少し手の打ちようがありそうにも思ったが、それは言わなかった。

「なのでこれ、配ってるんです」
  そう言って黒糖ドーナツ棒を差し出してきた彼に、私は首を横へ振った。
「甘いもの、苦手なの。気持ちだけもらっておくわ」
  そう告げたところ、
「なんとなく、そう言われる気がしてました」
  と応えた彼は、「じゃあこちらはどうですか」と続けた。その手には、一枚のシール紙。見ると、くまモンのシールだった。黒糖ドーナツ棒のおまけ、なのだという。

  決して欲しいわけではなかった。が、これ以上固辞するのも悪い気がしたので、仕方なく貰うことにした。
「デスクに貼っておいたらかわいいですよ」
  言われたが、間違ってもそんなことは出来なかった。反駁しておく。
「くまモン、あまり好きじゃないの」
「またまた。嘘吐くの下手ですよね」
  笑って、彼は去っていった。

  あとには、私のデスクに置かれたくまモンシール。
  どこに貼ろうかと考えて、電卓の片隅に貼ってみた。何もかもを消し去るACキーの隣で、呑気に踊っている姿。――これはこれで、悪くない。
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