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2015.09.28

Wandering

 町を歩いた。どこか行きたい場所があったわけでも、何かを探していたわけでもない。そこに何か理由があるとしたら、青空の下でアルコールを飲みたいという程度のことだった。ただの、気まぐれ。

 コンビニエンス・ストアでウォッカレモンソーダを買った。一息に飲み干して、空き缶はゴミ箱へ。
 よく晴れた午前9時。太陽は煌めきながら世界を照らしている。暑ささえ覚えるような陽気のなか。駅前から、東へ向かって歩き始めた。

 地理的にも経済的にも、この街道は町の中心にあたる。江戸時代には参勤交代の道として使われた道だ。熊本城の辺りから、この大津町を経由して、阿蘇の二重の峠を通り、大分へ至る。肥後街道、または豊後街道という名前で呼ばれている。その宿場町として、この大津町は賑わったという。

 古い歴史を持つ街道を歩く。
 狭い道だ。道の両側に目をやる。歴史がある、というよりは鄙びた街並み。閉ざされた商店も少なくない。
 私は途中で再びコンビニに寄って、今度は缶のカクテルを一本、買った。普段は決して飲まないようなそれも、この青空の下で飲むと、悪くなかった。

 カクテル缶を傾けながら、ぼんやりと眺めてみる。
 ガードレールの向こう側に、鉄道路線が伸びているのが見えた。赤茶けたバラスト石の間に、鮮やかな紫色の花弁が揺れている。どれだけの秋を、この花は同じ色で迎えたのだろうか。そんなことを考えた。
 数百年の間に、この参勤交代道は鉄道に取って代わられた。今ではその鉄道も国道へ、その役目を譲っている。時の流れはここにたしかにあって、変わるものと変わらないものとを選り分ける。人も町も、時の前に平等だ。多くのものは変わらないではいられない。良くも、悪くも。
 私は空になった缶をゴミ箱へ捨てて、再び東へ歩き出した。


 町の東の方。引水と呼ばれる場所辺りまで歩いた。
 ふと、目が引かれる。かつてよく訪れていた喫茶店があった。誘われるように、その店の扉を開く。いつかと変わらない味のコーヒーを供されて、わけもなく安堵の息が漏れた。
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