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2015.08.30

End of Summer

 インターフォンが鳴った。来訪者があることは事前に聞いていた。扉を開けると、
「久しぶりっ! よろしくおねがいしまーすっ」
 そこに立っていたのは従姉妹だった。高校3年生。
「こないだ会ったばかりじゃない」
 とりあえず、どうぞ、と私は彼女を部屋へ招き入れた。

 夏休みの宿題を手伝って欲しいという連絡を貰ったのは昨夜のことだった。特に予定があるわけでもないので、快諾していた。
 昔からよく慕ってくれる彼女は、私にとって妹のようなものだった。
「それで、宿題はどこまで終わってるの?」
 問うた私に、彼女はどこか自信ありげに答えた。
「全然、まったく終わってないよっ」
「……胸を張って言うことじゃないわね」
「ゆず姉だって似たようなものだったって聞いたよ」
「私は元から提出する気なかったもの」
「アタシよりダメじゃん」
 呆れたように言われた。もっともな意見だった。その意見を無視して、私は告げた。
「数学から始めましょうか」
「うぇー……」

 それから数時間をかけて、宿題を終わらせた。もともと、やる気になればすぐ終わるくらいのものだった。
 従姉妹にしても本当に手伝ってほしいというよりは、それを口実にして、遊びに来たかっただけなのだろう。彼女ほどの容姿であれば男性からも引く手あまただろうに、と思う。しかし、それだけ慕ってくれているのは、悪い気持ちはしなかった。

 宿題が終わると彼女は、1枚のDVDを取り出した。
「これ、一緒に見ようよ」
 と言う。『テッド』という映画だった。見たことのない映画。私は快諾しておいて、キッチンへ行ってジン・トニックを作った。

「アタシも飲みたい!」
 キッチンについてきてそう言う彼女を、私はさすがに止めた。
「まだ未成年でしょう」
「ちぇっ、ゆず姉だってその頃から飲んでたくせにー」
 頬を膨らませながら彼女は言った。それは事実だったが、それとこれとは別の問題だった。グレープフルーツジュースとウィルキンソン・トニックを混ぜたノンアルコール・カクテルを作ってやって、
「こっちにしときなさい」
 そのグラスを差し出した。時刻を見ると、昼の12時前。ピザを取ってやることにした。彼女のグラスの前にバカルディ・ホワイトを置いて、キッチンをあとにする。
「そのラムを混ぜると、ソル・クバーノっていうカクテルになるそうよ」

 それだけ言い残して、私はリビングに戻ってピザ店に注文をした。彼女がキッチンから持ち出してきたカクテルが、ソル・クバーノと呼ばれるものだったのかどうかを、私は知らない。
 1時間後。私の肩へ寄りかかって小さな寝息を立てる彼女を見ると、大体の想像はついたけれど。
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