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2015.08.09

Long good bye

 朝から図書館へ行った。図書館はいつでも何かを与えてくれる場所だ。たとえばそう、アルコールを飲むことのできない休日の昼間の、暇つぶしの時間なんかを。今日はこれから、人と会う用事があった。

 クーラーの効いた館内を歩いて、2冊の書籍を選んだ。窓際のソファに腰をおろして、ページを開く。レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』。最後に読んでから、随分と経つ。逐語訳的な文体が、懐かしく心地よい。外からは、蝉の声。絶え間なく響いている。窓の向こうでは緑の芝生が降り注ぐ陽光を浴びて輝いていた。濃い青色の空の下に、夏の景色を眺めながらページをめくった。

 やがて私は、書籍の選択を誤ったことに気付いた。すっかり忘れていた。この作品には、多くのカクテルやウイスキーが登場することを。「スカッチ」と表現されるウイスキーが飲みたくて仕方がなかった。アルコールの表現というのは不思議なもので、「ワイン」と言われるよりも「ぶどう酒」と言われた方が美味であるように思う。同様に、「スコッチ」よりも「スカッチ」。「ウォッカ」よりも「ウォトカ」。――これを理解してくれる人は、そう多くないかもしれないけれど。
 この作品に出てくるレシピでギムレットを作ってみたことがある。それはちょっと甘すぎて、私の口には合わなかった。しかしあんな甘さも、この暑さの中ではちょうど良いのかもしれない。そんなことをつらつらと考えているうちに、耐えられなくなって『長いお別れ』を閉じた。このまま読み続けていると、ジンとコーディアル・ライムが半分ずつのギムレットを作りに、帰宅してしまいそうだった。
 高村光太郎の詩集を開いた。こちらは、今日の日にとても適した詩集だった。
 じっくりと時間をかけて読んでいるうちに、待合せの時刻になった。図書館を後にして駅へと向かった。今日は久々に、風宮と会うことになっていた。幼馴染の彼が私の同僚と付き合いだして以来、こうして二人で会うのは初めてだった。上手く、話すことができるだろうか。
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この記事へのコメント
ゆずきさん、こんにちは。

岩見さん、と……恋人同士で解釈は良いですか?
他人事でありながら、つい聞いてしまいました/苦笑
ぱ、ぱにゃにゃんだー……。

それと、血濡れたお札は紙幣として通用したのでしょうか?
なぜか読みながらドキドキしたもので。
Posted by つばき at 2015.08.10 15:48 | 編集
つばき さま。

こんばんは。ご推察の通り、のようでした。もっとも、そうした関係が長続きするような性格ではないと思うので、一時的なものだろうと見ています。

紙幣は、無事に新札に交換できました。この国の造幣技術は大したもので、汚れならばほぼ問題なく、正確な真贋鑑定が出来るようです。犯罪に絡む紙幣だった場合は面倒なことになりそうですが、いまのところ、大丈夫なようです。
Posted by 神代 ゆずき at 2015.08.10 20:04 | 編集
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