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2015.07.11

Before wedding

 午後4時18分発の電車で街へ向かった。2両編成の電車に乗って熊本市内へ。
 車を使わないのは、帰り道では酔っていることが分かっているから。

 今日は高校時代の友人たちと会うことになっていた。時々会って、一緒に食事をしたりバーへ行く、その友人のうちの1人が結婚するのだという。ささやかな祝いの意味で食事会が開かれることになっていた。場所は「まち」の――つまり熊本市内、水道町とかその辺りの――イタリア料理店だった。

「おめでとう。幸せにね」
 結婚を迎える彼女に定例句を述べながら、花束を渡した。混じらせておいたのは一輪の青バラ。サムシング・ブルーという言葉に従った。
「わぁ、ありがとう」
 新婦になる彼女は、高校生の頃と変わらない笑顔で受け取ってくれた。
「式はいつ?」
 問うたところ、
「8月の予定なんだよー。招待状送るからねっ!」
「あら、もうすぐじゃない」
 にひひっ、と笑った彼女は答える。
「ねっ、みんなの都合もあるのにね。相手の両親からせっつかれてさー。ごめんね」
 愚痴るような口調。そこにしかし、本当は不満が混じっていないことくらいは私にも分かった。
「予定空けとくから」
 ありがとう、と頷く彼女にもうひとつの小さなプレゼントを渡した。驚く彼女に小さく笑っておいてから、用意されたテーブルへ向かった。

「あっ、神代さん、こっちこっち!」
 数ヶ月ぶりに会う友人たちは相変わらずだった。手を引かれて、強引にテーブルの中央席に座らされる。私の周りの友人には明るくて強引な人が多い。――類は友を呼ぶ、という言葉は、おそらく真実ではない。

 それから1杯目のビールが届くまでのわずかな時間に、矢継ぎ早に質問を飛ばされた。
 結婚はしないのか。付き合っている異性はいないのか。酒を控えるつもりはないのか。答えはすべて、ノーだった。
「相変わらずなんだから」
 友人の1人が笑いながら、届いたビールをグラスに注いでくれた。私はビールが苦手だ。それでも今日、そこで飲んだビールは美味しかったように思う。


 2次会の途中まで参加して、帰ることにした。東京であれば、そう終電を気にしなくてもいいのだけれど、熊本ではそういうわけにもいかない。
 帰りの電車の中で、高村光太郎の詩集を開いた。規則正しい音を立てて揺れる電車の中。本を開いたまま、いつの間にか浅い眠りに落ちていた。こういうところをどうにかしなければ結婚はできないのかもしれない。どうにかするつもりは、いまのところなかった。肥後大津駅に着いて、コンビニでショート・ホープを1箱買って、家へ帰った。
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